「……本当に、あと一度だけ?」
「あぁ、本当だとも。だからこの勝負(ゲーム)、我々の勝ちだよ」
「……そう」

半分諦めの入っていたサナに齎される、エックスからのアドバイス。
それ自体はミリエがゼンカに接触していたのと同じように、ゲームのルール上何の問題も無いわけで。
サナは唐突に齎されたそのアドバイスに光明を見ると同時に、ゼンカと同じ迷いを抱く。
このままなら確実に勝てる、しかし、勝った後に後悔しないだろうか、と言う迷いを。

だがサナは、己の確固たる目的のために、このゲームに参加していたのだ。
ゼンカのように『誰かの為』ではなく、『自分の為』と言う確固たる意思を持って、このゲームに全てを賭けてきたのだ。
だから、その迷いは直ぐに捨て去られる。


「ありがとう。最初で最後の、最高のアドバイスだったわ」

「それは光栄。それでは、頑張ってください。今回の挑戦で、彼らの希望を根こそぎ奪い去るのです」


エックスは暗闇に消える。
サナは暫くそれを見送って、そして再び学園へと続く通学路を歩き始めた。
まだ登校する生徒と擦れ違いもしない早朝のことだ。



時間が巻き戻され、サナは再び、この学園の『新任教師』としての一日目を再スタートする。
サナにとって、これで、3度目の『一日目』だった。






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迷宮学園録

第二十七話
『魔王と古代兵器 #1』

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3度目の世界は、最初の段階から何かが狂い始めていた。
ロールバックが不完全な所為で、少しずつ未来が変化するのは当然であるのだが、それにしても今回の変化はあまりに大きかったように思える。
それが何かの予兆なのかと内心ビクビクしているこの俺、黒木全火は現在、リシャーダの家で住み込みのバイト(執事生活。要するに居候)をする生活を送っている。

去年まではフェルエルの家に泊めて貰っていたが、新学期が始まる少し前の俺の判断で、今度は上手い具合にリシャーダの家に転がり込む事に成功したのだ―――と言う設定で俺はリスタートしていた。
何故そんなことが出来たのかと言うと、そこはロールバックされるこちらの世界に留まっていた欲望の王クロキゼンカの活躍に他ならない。前の挑戦で予め、Xの正体が誰であったにせよ、次の挑戦ではフィノンを取り巻く異常を片付けておくようにと、クロキゼンカと約束していたのだ。
時間が巻き戻された後、俺がこちらに戻ってくる僅かばかりの時間で、クロキゼンカは上手い事リシャーダの家で住み込みアルバイトをする設定を立ち上げてくれた、と言うわけだ。

しかし如何言う事だろう、と俺は首を傾げる事となっていた。
それが、この3度目の世界が『あまりに大きい変化』を迎えていることを俺に気付かせた一つの要因であったのだが。


「―――ハッ! 殺気!」


俺は瞬間的にリシャーダの放つ殺意を感じ、横っ飛びでリシャーダ宅の2階、フィノンの部屋のドアの前から跳躍した。
瞬間遅れて、俺の最終決戦兵器エクスカリバーが在った場所を、リシャーダの蹴りが通過する。


「……フィノンの部屋の前でナニをしていたのかしら?」
「見回りをしておりました! 本日も敵影無し! 平和そのものであります!」
「しゃらくせぇどの口でほざいてやがるッ!!」


リシャーダの両手に緑色のエネルギーが凝縮される。と、次の瞬間そのエネルギーが弾け飛び、中から緑色の輝きを放つ半透明のナイフが出現した。
オイオイ、アレは我が学園で知らないヤツはモグリだとまで言われているリシャーダのフェイバリットスキル、『リーフブレード』ってヤツですか。まさか家の中でそいつを振り回したりするはずが―――

―――ビッ!!

「……り、リシャーダ、落ち着くんだ、話せば解る!」

リシャーダのナイフを持った腕が横一閃、衝撃波が俺の頬を切り裂いた。
あ、朝から流血騒ぎ!? くそうこんな事ならやっぱりフェルエルの家で大人しくしてたほうが良かったかも知れない!

―――ガチャリ。

その時フィノンの部屋のドアが開き、中から制服姿のフィノンが、呆れた表情を浮かべながら出てきた。

「……ふたりとも……朝から何やってンの……?」
「ラジオ体操よ」
「「嘘だッ!!」」

平然と嘘を吐けるリシャーダに、俺とフィノンのダブルツッコミ。
フィノンの前ではあまり暴力的な行為はしないらしい、リシャーダは何事も無かったかのように階段を下りていった。

ほ、本当に殺されるかと思った……。
オイ、このやろう欲望の王、お前一体俺がこっちに来る前に何をしやがった……。

その俺の問い掛けに、俺の精神の片隅に居る欲望の王は低く笑いながら、「いろいろ」と答えた。
マジで何しやがったコイツ……。事と次第によっちゃあ、とても羨ましいじゃないか!

「ごめんね、ゼンカ……大丈夫?」
「あー、へーきへーき。慣れてるから。腕の一本や二本が飛ぶくらいまでなら覚悟してる」
「すげぇ!」

実際、前回の挑戦の時は、ホントに腕を落とすくらいの覚悟はしてたからな。脱獄のために。結局落とさなかったけど。無駄な覚悟にも程があった。



さて、脱線したが俺の首を傾げさせたのはこのフィノンの変化だ。
前の挑戦の時、コイツは明らかに何かの『異常』を宿していた。
しかし如何だろう、今回、欲望の王に先回りして貰って内部調査をしていたのだが、リシャーダが俺に聞かせてくれたあの話―――フィノンが学園に弁当を届けに行ったと言う話は、そもそも存在すらしていなかったのだ。
リシャーダに聞いても『何それ、変なクスリでも打っちゃったの?』とか罵倒される始末。

じゃあ、その時にフィノンの身に降り掛かった災難は、今回の挑戦ではそもそも存在していないのだろうか。
ボロ子は言っていた。世界の成長の条件を。

それは、『後悔』。

リシャーダが弁当を忘れた事を強く後悔していたから、不完全なロールバックの影響で若干過去が書き換わり、結果的にフィノンを取り巻く異常が発生しなかった、と言う事なのだろうか。
未来は変えられると言うけれど、過去を書き換えるなんてマジで怪物だな、ボロ子。と感嘆すると同時に、じゃあ俺が今リシャーダの家で命ギリギリの生活を送らなければならないのは無駄足? と嘆きたくなる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか……じゃなくて。

リシャーダ家で人並みの朝食にありつきながら、俺たちは3人揃って新しい学園生活に旅立つのだった。
リシャーダとフィノンにとって新しい学園生活なのは当然だが、この場合、俺にとっても『全く新しい学園生活』だと考えて差し支えないかもしれない。




青々とした木々を校舎を囲む壁沿いに植えることで、外からは中の様子があまりよく見えない代わりに、中から見ると木々に囲まれた緑溢れる学園、みたいになっていて気持ちいい。
特に正門付近には桜の木が植えられていて、3度目の挑戦となる今回も変わらずに桃色の花びらを舞わせているのが美しい。
その中を沢山の生徒が歩き、学園の中に吸い込まれていく。
みんな、前回の挑戦で俺が殺してしまった連中だと思うと、複雑な気分だった。


「ぜぇーーーーんーーーーーかーーーーーさぁーーーーーまぁーーーーーー!!!」

「んあ?」


甲高い声に呼ばれて振り返る俺。
しかし、背後には誰も居ない。
リシャーダとフィノンも、一体何事かと辺りを見回すが、誰も居ない。
そりゃ、居るはずも無い。だって、そいつは上から襲ってくるのだから。


―――ズッドォーーーーン!!


「へぎゃあああああっ!!」
「ぜ、ゼンカーーー!?」

「お久しぶりですぅーーー!! フルフルは、フルフルはずっとお待ちしておりましたぁーーーっ!!」



多分、ギリギリまで不死鳥の姿でその辺飛んでたんじゃねーの?
って思うくらい、唐突に上から襲い掛かってきたフルフルは、ピンポイントで俺の後頭部に抱きついてきてそのまま俺を押し倒した。
正確に言うと、衝撃で押し潰した感じ。寸でのところで顔面からアスファルトに突っ込むのは回避したが。
鳥だけあって体重はかなり軽い方なんだろうが、それでも人間一人が空から降ってくるのを後頭部で受け止められるほど俺の首は強くない。つーかそんなん、鍛えてる人間でも無理だろ、モノ凄いガタイのヤツならまだしも。


「お、降りろ……、死ぬ……」
「死ぬまでお供します!」
「ゴフッ……ガク」

「あ、死んだ」

「きゃーーーーー!! ゼンカさま! ゼンカさまぁーーーーーー?!」


とまぁ、そんな感じで、学園の正門前辺りで半分死にかけていた時であった。
見慣れた連中が、フィノンを呼んだのは。

「フィノ〜ン! また同じ学校だねぇ〜!」
「ユハビィ! あっはは、『また』なんて、この辺学校殆ど無いんだから一緒になる以外ないでしょ〜♪」

フィノンがパッと明るい表情を浮かべて、その連中の方に駆け寄っていく。
頭の色が、緑、青、茶、青、青。とても賑やかな元・俺のクラスメートたち……。


「……え?」


俺は、自分の目を疑った。
ユハビィとフィノンが手を取り合ってはしゃいでいるその後には、お馴染みのAAコンビことアーティとアディスが居てアディスの隣にフライアが居て、……じゃあ、アーティの腕を取って、いかにもカップルですよオーラを出しているそこの女は、一体誰だ……?
俺はそんなヤツ知らない、1年生にも2年生にも3年生にもあんなヤツ居ないことを知っている!
ピカチュウ、イメチェンした? なんて馬鹿な真相ではない。そもそも顔立ちがまるで違うではないか。アイツは、誰だ……?


「ゼンカ……? どうしたのゼンカ?」


フィノンの横をすり抜け、俺はアーティの前に立つ。
だが、狙いはその隣。見ず知らずの俺が立ちはだかっても全く気にも留めず、平然としているその女に俺は用がある。


「ゼンカ。そう言うのはサンダーの役目でしょ」
「ぜ、ゼンカさま、私と言う人がありながら……!」


リシャーダが呆れたように言うが、無視。
フルフルの意味不明な喚きも当然聞こえない。

俺は、ただ思ったことを呟いた。


「お前、誰だ」


次の瞬間、アーティの顔が一瞬で青ざめる。多分、俺の一言を、『本来とは違う意味』で受け取ったに違いない。それは俺が想定するのとも若干違っていたようだが、しかしその女が『普通じゃない』と言うただ一点に於いては寸分違わぬ意味合いだっただろう。
アーティはその女を庇うように俺の前で両手を広げ、それ以上の追求を拒もうとした。


「こ、コイツは……俺の幼馴染でさ、は、はははは、別にどうって程のヤツじゃねーんだ!」


アーティは、嘘を吐くのが『ド下手』だ。
だから、ユハビィやアディスは既に真相を知っているのだろう。外野が何とか助け舟を出そうとしているのだが、俺が背中で阻みそれを許さない。
アーティは冷や汗をダラダラと流しながら、あーでもないこーでもないと言い訳を並べているが、最早真実が露呈するのも時間の問題に思われた。
と、その時。アーティの腕にしがみ付いていたハズのそいつが、何時の間にか俺のシャツを掴んで、引っ張っていた。


「はじめまして。私はラプラス、どうして私に声を掛けたのかは知らないけれど、以後お見知りおきを」
訳:何故私に気付いた。話が在るから、今すぐ人目に付かないところに来い。もしくは連れて行け。


それは、目を見ながら話をしていても、ウッカリすると気付かないほど巧妙に隠されたメッセージ。
ラプラスと名乗ったそいつは、表情の僅かな動きだけで俺だけと話がしたい事を告げ、俺は俺で、よくそれを読み取る事が出来たなと自画自賛したかった。

「OK、サンダーが手を出す前に俺が唾付けとくぜ。じゃあなお前ら」
「ちょ、ちょっとゼンカ! アンタHR如何するのよ!」
「間に合わなかったらつまり『そう言う事』だと思っといてくれ。よし、俺のベストプレイスに案内しよう。お前も来い、アーティ」

ラプラスともども学園の中に入っていく俺の後を、何故コイツは自分の名前を知ってるんだ?みたいな顔をしながらついてくるアーティ。今回は、あまり覚えてないみたいでちょっと安心、半分残念。
残されたリシャーダ他1年生たちは呆然としながら、暫くそこで立ち尽くしていたのだった。



…………



俺のベストプレイスは、1年校舎の屋上である。
普通は鍵が掛かっていて入れないのだが、四天王の職権乱用で1・2年校舎のマスターキーを貰っている俺は、何時でもそこに行く事が出来た。そのマスターキーで入れないのは更衣室だけなんだぜ、物凄く痒いところに手の届かないマスターキーもあったもんだ。と言う愚痴はさて置き。

アーティは観念した様子で、ラプラスはと言えば平然と俺の後についてきて、そして屋上から見える絶景には思わず感嘆の声を上げていた。
屋上からは、学園全体とそれを囲む木々と、正門側には桜が見える。意外と花見っぽいことも出来る。ベストプレイスの名に恥じない、素敵な空間がそこには広がっていた。入学早々の1年に見せるには、過ぎた景色だったかも知れない。が、それはさて置き。

で、フルフルは既に、そこでビニールシートを広げてお茶を啜っていた。

俺はズカズカと歩いていくと、そのピコンと跳ねた耳っぽい癖っ毛をムンズと掴んで上下に引っ張ってみる。

「や、や〜〜〜め〜〜〜て〜〜〜〜ぇ、ち〜〜〜ぎ〜〜〜れ〜〜〜る〜〜〜ぅ」
「……ここで何してやがる耳女」
「は、花見をしておりました……。ゼンカさまの分のお茶もお菓子もありますよ」
「いらねぇーっつーの!」
「らめぇ〜〜〜〜!!! の〜〜び〜〜ぃるぅ〜〜〜〜!!」
「伸びてンのはてめーのセリフだッ! 無駄に〜とか使いやがって! この! この!」
「ふわぁ〜〜〜〜ん! ゼンカさまがイジめるぅ〜〜〜〜!」

昔、こんなオモチャがあったなぁ、なんて思いながら、気が済むまでフルフルの耳(髪)で遊び倒す俺。
2〜3分そうしてから、フルフルが「俺の分」と指差したお茶を一気飲みして、シートの上にどかっと座る。要らないとは言ったものの、矢張り出されたものはちゃんと頂かないと気分が悪い。
あと、別にコイツが此処に居る事自体は驚くべきところではない。コイツは素で空を飛べる。どうせ俺が此処に来る前に、校舎の外側から屋上に先回りしていたんだろう。
表向きは『武器召喚スキル』の一端として『不死鳥の翼』を召喚して空を飛ぶことが出来る、と言う設定だったか。フルフルこと不死鳥フルコキリムは、俺の中の欲望の王クロキゼンカと同じく学園に潜入し、共にXを追っている『神の側の者』だったな。

ただし、栞を持っていなかったフルフルは、ロールバック前の記憶を引き継ぐ事は出来なかった。コイツはXの正体を知らぬまま、ただ単純にゲームの参加者でありながら『欲望の王クロキゼンカの同類』として、俺と共同戦線を張る立場にあると言うだけだ。その辺の細かい事情は、俺がこっちに戻ってくる前にクロキゼンカから聞いているかも知れないが。

俺の内情とは別に、フルフルは静かに呟いた。
ふざけたじゃれ合いは此処まで、とキッパリケジメをつけるように、その口調は最初に俺と出会ったときのそれ。

「あの子、人間じゃないよ。万が一のこともあるから、私が居た方がいいでしょ?」
「!」

フルフルがさり気無く指差す先に、屋上で春の風を感じるラプラスの姿があった。
そうかそうか、人間じゃないのか。……人間じゃないって、じゃあ誰なんだよアイツは。

「我々と同類ですらない。そもそも『生き物』かどうかさえも怪しい。ロボット? そんな感じ」
「オイオイ、そんな馬鹿な。あそこまで精密なロボがあるはず……」

そう言いかけて、この世界の異常性を思い返し、無いとも言い切れない事に気付いて言葉を止める。
魔法とか神とか怪物とか超存在とか。……そんなのに較べたら超精密ロボの一体や二体、居たところで驚いちゃいけないよな……。
でも、何だってロボットがこの学園に。ましてや、前の挑戦の時は居なかったぞ。

「居たよ。表舞台には出てこなかったけど、この学園の中にずっと眠っていた……と、クロキゼンカは言っている」
「……それって、まさか」
「学園に潜む『魔物』かどうかは知らないけれど。似たようなモノかもね。この学園は、私たちが思ってる以上に業が深いのかも」

再びラプラスの方を見ると、彼女は俺が何時までもフルフルと話しているので暇になったのか、またアーティとじゃれていた。アーティはアーティで、半分諦めたように、されるがままになっていた。

「フィノンの事件が存在してないのと、何か関係があるのかもね。今回はフィノンじゃなくて、アーティに何か災難が降り掛かった、とか」

……悪い冗談にしか聞こえなかった。
まさか、こんなに状況が変わるなんて、思っても見なかった。
基本的にはセカンドのリテイク、とボロ子は言っていたのに、これではまるで全く別の世界じゃないか。
やっぱり、俺がリシャーダ宅に居候すると言う選択は、完璧に肩透かしで終わるのか?

意を決して、俺はラプラスに問う。
先ずは、こいつが俺の『敵』か『味方』か。

「ラプラスって言ったな。お前は、一体『何』だ?」

俺の問いに対し、ラプラスは鞄の中から一冊の本を取り出して、パラパラとページをめくり始めた。
そして、あるページを開くと、それを俺に「見ろ」と言わんばかりに突き出してくる。
その本はどうやら古代史に明るい本のようで、そこに書かれていたのは、幻の古代帝国やら何やらが、戦争に使ったとされる兵器のことだった。

―――その名はテロメア。
古代兵器テロメア。スキルを発動する気力をエネルギーにして稼動する大量殺戮用小型兵器。

その本を読み進めるほどに、俺の中の不安が増幅していくのがわかった。
そんな恐ろしい兵器が、コイツだと言うのか?
そんな恐ろしい兵器がこの学園に今まで眠っていたのか?
そんな恐ろしい兵器が、何で今更、唐突に現れたのだ?
しかしラプラスはそんな俺の不安を全て吹き飛ばすように、笑顔で言った。


「『今の』私はただ、この学園で楽しく暮らしたいだけだよ。アーティと一緒にね」


屈託の無いその笑みは、とても破壊兵器だと思わせない『感情』や『人間らしさ』を感じさせた。
俺は内心、安心すると同時に、ある一つの感情を抱き始めていた。
いや、厳密に言うとそれは俺の感情ではなく、俺の中の欲望の王の感情なのだが。




 利用出来るぞ……
 古代兵器とは、随分強力な武器が転がってきたじゃないか……

 勝てる。この勝負、勝てるぞ……




クロキゼンカは既に、俺の感情とは別に、サナを殺すための計画を頭の中で練り始めていたのだった……。








続く 
  



  
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