校長室ってこんなに遠かったっけ?
などと思いたくなるほど、睡魔との戦いに磨耗した俺は何とか校長室の前に辿り着いて、ガックリと肩を落とした。
確か校長室の中にソファがあったよなぁ、もういいやボロ子(あだ名)から話を聞いたらちょっとそこで一眠りするとしよう。

あ、全然考えてなかったけどデンリュウ校長が居たら如何しよう。
まぁいいか、絶対に味方だって言ってたしな。今はもうそう言う事でいいや。

校長室のドアに手を掛け、腕力を込めるだけの気力が無かったので、俺は全体重で倒れこむように―――しかしドアは、開か……ない……。
倒れる心算で体重を掛けたのに、ドアは鍵を掛けられたかのように硬く閉ざされていて、ビクともしなかった。
……かと思った瞬間、俺の掛けた力とは関係なくドアが若干動き、その隙間から白い無数の手が俺を捕まえて中に引きずり込んだ。
だからコレ超怖いっつーの! 引き摺りこまれる側の身にもなりやがれ!
校長室の中に放り込まれた俺は文句を言うべく立ち上がったが、ボロ子は満身創痍だと言いたげな様子で呼吸を荒げ、例によって宇宙空間と化した校長室の中で唯一元のままにされていたソファの縁にしがみ付いていた。

「お、オイ!? お前大丈夫か!?」
「五月蝿い黙れ……くそ、内臓の5〜6個無くても、大丈夫だと思ったんだがな……」
「大丈夫なワケ無いだろッ!? お前それ殆ど骨と皮しか無ぇじゃねーか!」

俺の予想を大幅に超えて、ボロ子は人間としては中身があまりに規格外だったため、迂闊に手を差し伸べてやる事も出来ず、俺はただツッコミしか出来なかった。
そもそも何で実態化してんだよ、確か前に実態化した時は俺の盾に使うからとか言ってたが、何も今実態化する意味は無いんじゃないか?

「実態化しないと私の声が空気を振動させる事が出来ないからな……」
「テレパシーはダメなのか?」
「さっき来た客人はガードが固くて頭の中に入れん」
「案外万能じゃないんだな…」
「今だけだ、見てろよ。元に戻れさえすればどんな相手だってフルボッコに……うぐぅ」

バタリ。ソファの下に倒れるボロ子。
だから、その身体で生命活動出来てる方が俺としては謎なんだ!

「人間とは、虚弱な分際で……うぅ、複雑な構造をしているな……」

最後にそれだけ呟いて、ボロ子は光の粒になって宇宙空間の中に溶けた。
そして、また普段そうするように、『幻影の姿』だけを晒して、俺の頭の中に直接語りかけてくる。
あぁ、なるほど。今俺が目の前に見ているこの幻影は、本当は『目』が見てるんじゃなくて『脳』が見てるんだ。まぁ、それが解ったからと言って何をするでも無いのだけれど。

「言いたい事は解っている。大方、『第二の参加者』がお前に接触してきたのだろう」

頭の中から、ボロ子は俺の心を読んできた。
解ってるなら話が早いし、解っていてくれたなら、俺も希望を持てる。
連中が何者で、どの程度警戒すればいいのか。

全く警戒の必要が無ければ良し、少しはした方がいいならそうしよう。


「私はヤツが連れてきた『駒』がどんなヤツなのかを知らない。だからゼンカ、その判断はお前がするんだ」
「………俺が一番欲しくなかったアドバイスじゃねーか」


自分で何とかしろと言われても、そうするべき事が多すぎて俺のスペックが追いつかねーよ。
しかし文句を言っても状況は変わらないし、コイツに頼るのもあまりに酷だろうから、俺は諦めて次の質問に移る事にした。
……あ、もしかしてさっきわざわざ俺に満身創痍なトコを見せたのはこの同情を誘うためだったのか!
だとしたらそいつは予想以上に効果を挙げやがったぞチクショウ!


「……まぁいいけど。ヤツって誰だ?」


希望を打ち砕かれるのはもう慣れてるので、すぐに思考を切り替える。
そう言えばさっき『客人』とも言ってたが、そいつと『ヤツ』の関係も気になるな。


「ヤツの名はノア。私の後輩に当たる女だ。そいつが私と同じように、私にとってのお前に当たる『駒』をこの世界に送り込んできたのだ。ヤツの目的は私を出し抜いて先にXを倒す事。『敵』では無いが、『協力者』と言うよりは『競争相手』だから、仲間にするのは諦めたほうがいいな」

「そいつは助かる。俺はあんなヤツ仲間にしたいとは思わん」

「……そ、そうなのか。人を選り好みしないお前にそこまで言わせるとは、逆に会ってみたいな……」

「失礼な事を言うなー! 俺だって選り好めるなら大絶賛そうするわ! って、前も何処かで言ったなこのセリフ……俺の古傷にカラシニコフを塗るな!」

「……香辛料の名前に似てなくも無いがそれは銃器だ」


塗ったら滅茶苦茶痛そうではあるが。
ともあれ、俺を取り巻く環境が一つ、大きく変化したのは間違いなかった。
ノアと名乗る存在と、そいつが連れてきた『駒』―――あの耳女。
アイツは俺の栞を欲しがっていた。つまり、アイツらにはこのボロ子みたいなロールバックと言う反則技は使えないと言う事になる。
その点でボロ子の側に居る俺のほうが実力的には優勢な気はするが、しかし油断ならないのがあの耳女だ。
あの『目』の女はヤバい。
同族の俺が言うんだから、間違いなくヤバい。
あんな『目』をデフォルトで貼ってられるなんて、本気でヤバい――――





「…………」

「? どうした、ゼンカ」

「……なぁ、俺さ。何で『同族』だなんて思ったんだ?」

「……? 何を言ってるのか解らないぞ。私はお前の記憶を読む事は出来ん」



例えば漢字を一文字書いたとき。
その字をふとした瞬間に、『あれ、これってこんな字だったっけ?』と思うアレに近い感覚、と言えば、今の俺の心境を表すのに相応しい例かと思ったんだが、そんな喩え云々よりも率直に俺の疑問を言葉にしてしまった方が早いだろう。

しかし、上手く言葉に出来ない。
引っ掛かる。何が引っ掛かるんだ?
自分で、一体何に対して疑問を持ったのか、解らない。

耳女の冷たく淀んだ目が、『俺』と同族……?
そんなハズ、無いだろ? だって俺は、自慢にする事でも無いが、元の世界ではそれなりの幸せな生活ってヤツを送ってきた健康優良児だったんだぜ?

そうだよ、最初にこの世界に来た時は記憶が無かったが、一度外に出た時に全部思い出してるんじゃないか。俺には、帰るべき家があって、家族兄弟が居て、……俺は、あんな冷たい目を、『知らない』ハズだ。ましてや、同族だなんて、在り得ないんだ。

じゃあ、じゃああの時、最初の挑戦の時の最後……!
俺は、3年に囲まれた時に、一体何をした……!?
瞳に炎を灯し、人間として最低の部類の者だけが持つ鈍い輝きを宿した双眸で敵を睨みつけていたんじゃないか……!

アレは一体なんだったんだ!?
そうだ、そういえば今日だってそうだった!
サンダーまでもが戻らないと聞いて教室を飛び出した時のあの感情は、単純に俺の持っている友情だけでは到底説明の付かない、犯人に対する明確な殺意が湧き上がっていたじゃないか!!


―――強烈な眠気。


―――消えたフェルエルとサンダー。


―――現れた第二の参加者。


この、一見して関係無さそうな3つの出来事。
俺はこのファクターからXへの糸口を見出そうとしていたのに。

もう一つ、大事な事を忘れていた……!
そして、もしかしたらこれこそが一番重要な問題なのかも知れない……!!





―――俺は、いったい誰なんだ……!?








**************************

迷宮学園録

第十九話
『デジャヴ』

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「落ち着いたら出て行けよ。デンリュウ校長は所用で暫く戻らないらしいが、………」


言葉には出さなかったが、ボロ子の言いたい事は何と無く解った。
ボロ子にとって、存在できる空間は此処しか無いのだ。
そんな場所に、完全に疑心暗鬼でダメになった俺がソファに横たわっていたら、邪魔で仕方ないのだろう。

結局、ボロ子は俺の問いには答えなかった。
俺は何者だと言う問いに対して、『知らない』と、否定されてしまった。
その否定があまりに短絡的に見えた所為で。
ボロ子が本当は何か知っていて、そしてシラを切っているのだとしか、今の俺には考えられなかった。

俺のやろうとしている事は、正しいのだろうか。

実は、俺が助けようとしているのが『学園の魔物』で、3年生が俺を狙ったのは魔物の復活を阻止するためで、デンリュウ校長やフェルエルが俺を囲むのは俺の身を案じてではなく純粋に監視だけの意味であって、そしてボロ子は復活を遂げると同時にこの学園を血に染めようとしているのでは無いだろうか。

本当は俺こそがXで、Xは学園の魔物を復活させるためにその魔物本人に騙されて働かされ続けているのでは無いだろうか。




今日まで俺が戦ってこれたのは。




俺が、他の誰でもない『俺』なのだと思い込んでいたからであって。




Xと言う未知なる存在を追っている俺自身がXではないと言う証拠が何一つとしてなく、当初3年がそう考え至ったように、俺が俺自身をX容疑者であると考え至ってしまった時点で、俺の行動の9割は―――制限される。

余計な事をして、取り返しが付かなくなったらどうしよう。
なぁ、誰か、教えてくれよ。
俺はXなのか?
それとも他にXが居るのか?






ほぼ無意識に、俺は校長室を出ていた。
これ以上俺と一緒に居たくないのは向こうも同じだっただろうから。
俺は、行くアテも無く、ふらふらと1年校舎の中を歩き出した。
その時だった。


「………ゼンカ?」

「え?」


俺の前に、黄緑色の頭のピコ毛女が呆然とした様子で俺を見ながら立ち尽くしていた。
俺は、その女を知っている。前の挑戦の時に同じクラスで、AAコンビのアーティを何時も弄っていて、そしてうちのクラスの担任のキュウコン先生のフィアンセと噂される少女―――ユハビィだ。

今のユハビィはロールバックのお陰で俺と過ごした5日間の記憶は99%無く、あるとすればそれはデジャヴレベルのものだから、俺の名前など知っているはずは無いのだが。
しかし、ボロ子のロールバックが不完全だったと考えれば、これも不思議な事ではないのだろう。


「ゼンカ『先輩』だろ、ユハビィ? こんな時期に2年生四天王の名前を覚えてるとは大したヤツだぜ」


そう言って、俺はユハビィの頭をワシワシと撫で回して、そのままユハビィの横を通り抜けて会話を終わりにしようとしたのだが―――グイィッとシャツを掴まれ、俺はユハビィに捕まった。


「……何で、ワタシの名前、……ううん、それより、何でワタシ、貴方の名前を……」
「俺が2年生四天王で、学園の二大変態だからじゃねぇの?」
「違うよ、違う! 何処かで会った事無い? いやある、あるよ、会ったことある!」


ユハビィの、シャツを掴む手に力が入り、ますます俺は逃げられなくなった。
両手でシャツを掴んでまじまじと俺の顔を見つめながら、半ば混乱したように喚くユハビィの目に、涙が浮かぶ理由は、俺には解る気がする。
『思い出せないことは、とても辛いこと』なのだ。


「何で……思い出せないの。何か、凄く大切な事のはずなのに、思い出せないよ……うぅっ!」
「入学式の時に壇上から見てたぞ?」
「違う! そんなんじゃない、もっと、近くに居た……思い出せない……けど、絶対に―――ワタシたちは友達だった」


浮かんだ涙が溢れ、雫となってユハビィの頬を伝った。
たった5日間しか一緒に居なかったのに、それだけの仲のはずだったのに。
コイツは俺を―――忘れなかった。友達だったとまで言ってくれた。

それが嬉しくて思わず俺まで涙ぐみそうになったから、それを悟られまいとユハビィの視界を遮るようにもう一度頭をグシャグシャに撫で回す。


「じゃあ、今日から友達だ。………もう一度な」


最後の一言は、本当に小さく呟いたから。きっとユハビィには聞こえていなかっただろう。
だが、俺の言葉にユハビィは満面の笑みを浮かべ、「うん!」と頷いた。
それだけで、俺は―――立ち直る事が出来た気がした。


「おーい、ユハビィー。何やってんだー?」


聞き覚えのある声が、ユハビィを呼んだ。
声が背後から聞こえたので振り返ると、やや離れたところからAAコンビ―――アーティとアディスが、フィノンと一緒に突っ立ってこっちに手を振っていた。
だが、アディスの手が、不意に止まる。
俺と目を合わせた瞬間に、唐突に。


「どした?」
「……いや、あいつ、どっかで会った事無かったっけ」
「んー……そういやそんな気がするな。何時だろう、一緒に遊んだ事ある気がする」


アーティもまた、奇妙な既視感に襲われていた。
それは、物心も付かない子供の頃の曖昧すぎる記憶のようにおぼろげで、ずっと昔に会ったことがあるような気がするけど、でもそれはとてもごく最近の事のように思えて。


「ゼンカ……」


アーティの隣で、目を見開いたフィノンが、小さく呟いた『名前』。
それが引き金となって、アーティとアディスの失われた記憶を呼び起こす。


「そうだ、ゼンカだ! うちのクラスの―――アレ……?」


だが、呼び起こされたのは、ほんの一瞬。
暗闇にカメラのフラッシュを向けたように、一瞬だけ映し出されたけれど瞬き程の時間でまた記憶は闇に包まれてしまう。
そもそも、今の俺はあいつらと同じクラスではなく、2年生の先輩なのだ。
だから、あいつらが何かを思い出しかけても、それは直ぐに現実の前に矛盾となり、消滅してしまう。

もしもあいつらの記憶を完全に覚醒させるキーワードがあるとしたら、それは俺の持つ沢山のあだ名の中の一つだろう。俺がゼンカである認識はあいつらは確かに持っていたが、実際に俺をどう呼んでいたのかを思い出さない限り、完璧に記憶を呼び覚ます事は無いはずだ。
それを俺が教えてもあいつらは思い出さないだろうが。
もしあいつら自身が俺のあだ名を思い出したら、その時はもう一度、完全なロールバックが必要かもしれない。


「ゼンカ、1年校舎で何してるの?」


一方、フィノンだけは全く反応が違っていた。
ロールバック前の記憶を取り戻した様子は一切無いのに、まるで見知った仲であるかのように俺を呼びながら駆け寄ってきたのだ。
しかし、それは俺にとって驚くべき事でもなんでもない。
リシャーダとは四天王として親しい関係だったから、その妹であるフィノンとも当然親交はあったのだ。
彼女が、学園に入学するその前からな。


「いやー、実はお姉さんに嫌われちゃってさー。とゆーわけで俺の代わりに謝っといてくれないか?」
「またぁ?! もう……ホント進歩無いよねぇ……」
「はっはっは、まぁコレで示談っつー事で頼むわ」


俺はポケットから携帯電話を取り出すと、それにつけたストラップの一つを外してフィノンに渡した。
そのストラップの小さいネコの人形は前々からリシャーダに狙われていたので、この機会にコイツをあげてしまってご機嫌を取ろうと思ったのだ。

ネコ大好きっ子。リシャーダの奇癖の一つだ。
どれくらいネコが好きかと言うと、漢字2文字で表すなら『病的』。
もはや精神病の一種では無いかと疑えるほど、リシャーダはネコが好きなのだ。

だから、前々から狙われていたこのストラップをあげれば、確実にご機嫌は取れる自信はあった。
また、フィノンもそれは確信していたのだろう。

「わかった。帰ったら渡しとくよ」

フィノンは笑顔で俺からストラップを受け取ると、ブレザーの内ポケットに入れた。

「あ、そうだゼンカ」

不意に、フィノンの顔から、笑顔が消えていた。
ピシャリと言い切ったその一言は、話題が真面目なものに変わったことを暗に告げるには十分な迫力を孕んでいた。俺は思わずたじろぎながら、何とか喉の奥から言葉をひねり出す。

「な、何だ?」

掠れて出てきた情けない一言は意に介さず、フィノンは続けた。
俺は、完全に雰囲気に飲まれていた。

「リシャ姉、私のことで何か言ってなかった?」
「言……って、ないぞ。俺は何も聞いてない……」
「何も聞いてない? 本当に? 嘘は駄目だよ?」

フィノンの丸い目が、俺の顔を―――下から覗き込んで、心の奥まで全て暴こうとしているのが解った。
リシャーダの、『何でも見抜いたような目』が実質何も見抜いていないのだとしても、フィノンのこの目は違う。これは、案外、俺の心を本気で読んでいるのかも知れない―――そう思ってしまう程に、フィノンの目には有無を言わさない不気味さがあった。

「……私、心配してるんだよ。もしかしたら、ゼンカとの約束、守れないかも知れないって」

周囲の時が、まるで止まっているような気分になった。
今この瞬間、世界には俺とフィノンしか居なくて、周囲には下校しようとする生徒が歩いていたりしても、それは全部灰色に見えて、ユハビィやAAコンビでさえ、俺とフィノンの会話の邪魔をしないように遠くの方で待っているのがかすかに見えるのがやっとな状態で。
俺との約束が守れないかも知れないと言ったフィノンは、再び内ポケットから俺が預けたストラップを取り出して、続ける。

「リシャ姉。私には何も話してくれないの。だからゼンカ、何か知ってるなら、全部教えてよ。そしたら、私も……頼んでみるから」
「頼むって、何をだよ……」
「リシャ姉が、殺 さ れ て し ま わ な い よ う に、とか」

―――なんて事を、平然と……、言いやがるんだ、フィノンは……!
こいつは、本当に俺が知ってるフィノンなのか!? 殺されてしまわないようにだと!?
違うだろ、俺はリシャーダから聞いてるんだぞ、近寄った人間を殺しているのは……!
殺して、いるのは――――!!

フィノンは踵を返し、AAコンビの待つ方へと駆け出していった。
止まった時間が、それを合図に動き出したかのように、周囲に色彩が宿る。
俺はその場で立ち尽くして、フィノンの背中を見つめているしかなかった。
その時、フィノンは振り返って、もう一言だけ付け加えた。

「誰が悪いのか、それだけで言うなら。根源はデンリュウ校長だよ……私、あの人だけは……絶対に許さないから」



もう、何もかもが解らなかった。

俺が誰で、Xが誰で、正義は何処にあって、何が悪なのか。

消えたフェルエルとサンダー、不在のデンリュウ校長とアブソル。

第二の参加者と、俺を襲う強烈な睡魔と、フィノンの豹変。




誰か……本当に、誰でもいいから、この学園の裏に潜む『何か』を、俺に、教えてくれ。
俺は今、Xに近づいているのか?
それとも、Xから遠ざかっているのか?

2回目の4月。
2年生の四天王と言う地位から始まった今回の挑戦は、1度目の挑戦よりもさらに難解を極める様相を、この俺の無能な双眸に、これでもかと言うほどに見せ付けていたのだった―――。




続く 
  
  

  
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