第六章 ◇◇◇ 出現、虹色の翼

 午前10時半を過ぎた頃――イカリの湖の湖畔に出現した氷の柱と、全く同じものがフスベジムに出現した。
 昨夜から続いているこの事件は、結局犯人を捕えられないまま半日を費やし、とうとう6つ目のジムに辿り着いてしまったわけだ。
 その速度は、この世界の常識を逸している。一体どれ程強力なポケモンを用意すれば、たった半日で6つのジムを制する事が出来ると言うのだろうか。誰にも、その正確な想像は出来なかった。
 ただ一方で、こういう見方も出来る。
 このスピード任せな犯行は着実に犯人の体力を奪い、冷静な判断力を欠如させているというはずなのだ。
 それを裏付ける根拠として、このフスベジム襲撃を切り取ってみよう。
 今までは人目につかない時間帯を選んで犯行に及んできた。それはあまり人目につくわけにはいかない理由があったからに違いないのだ。その理由に、今回のフスベジム襲撃は矛盾している。
 夜中や早朝、確実に目撃者の少ない時間帯だけを選んで行動していればいいものを、こんな目立つ時間帯に派手に動けばすぐに包囲されてしまうのは火を見るより明らかなのに……。

「……どう思う。巡査。」
「どうもこうも。エンジュの置手紙を思えば……やっぱり今のホシは冷静じゃあねぇやなぁ。」
「置手紙……。ジョウト最速が云々、というアレか。」
「あぁ。どうもヤツはスピードに拘ってる。病的つってもいい。……ま、俺たちはそれに救われて、そこに付け込む形になるんだから、感謝しねぇとな。」

 巡査や他の刑事たちは、各々の経験や心理学的見地から、犯人の人物像を探っていた。
 もしかしたら、その中には的確に犯人の特徴を見抜いている推測もあったかも知れない。
 しかしそれが表に上がる事は無いだろう。少なくともこの状況に於いて最も発言力のある巡査や鬼瓦が、その正しい解答には至っていなかったのだから。
 今やこの一連のジム襲撃事件の犯人に対し、同じ人間の目線でその心情を読み取ろうとするのは不可能な事だ。
 それは例えば、後にホウエン地方を恐怖のどん底に叩き落とすアクア団のアオギリと、マグマ団のマツブサ然り。後にシンオウの地で“神”を呼び出さんとするギンガ団のアカギ然り。
 人は大き過ぎる存在にぶつかった時、その人間性というものを大きく揺るがされる。
 彼らがそれぞれ、超古代ポケモンや神話のポケモンの力に魅せられ悪意の衝動を抑え切れなくなってしまうように。
 今回の事件の犯人もまた、魅せられているのだ。大いなる力を持ったポケモンに。
 大いなるポケモンは、その存在だけで人間を試す。
 試された人間が、果たしてどういう末路を辿るのか。
 今回の事件の犯人が起こしたその行動こそが一つの答えである事は、間違いないだろう……。

「あの氷の柱……。」
「確か、ヤナギ氏の持つフリーザーの技かと……。」

 鬼瓦の目が鋭く光る。今やその氷の柱こそが、フスベシティの位置を示す最大の目印であった。そしてそれがそこに出現しているというだけで、フスベジムが既に潰されたという事実が静かに主張されていた。

「45番道路の封鎖はどうなってる。」
「ハッ。既に検問を設置し、コラッタ一匹通さない状態にあります!」
「よし。追い込むぞ。」

 鬼瓦が一歩踏み出すと、大きく口を開ける洞穴の前に立っていた二人の警官が敬礼してそれを迎えた。
 そこは、チョウジとフスベを結ぶ小さな洞窟、氷の抜け道。中には既に多くの警官が配備され、フスベ入りしたと思しき犯人の退路を断つ形となっていた。
 コートを靡かせて悠然と進む鬼瓦を、二人の警官が追う。時刻10時42分。鬼瓦の、決して短くない刑事人生で鍛え上げられた足が、犯人を追い詰める。
 一方、キキョウ側から人の歩けないような山道をパトカーで突っ切っていた巡査らは、検問によって封鎖された45番道路の南部に到達していた。そこからは徒歩で進んだ方が早いだろうという事で、巡査を筆頭に三人の警官がフスベシティを目指し始める。
 そして……。

「通してくれよ! 頼むって、これは俺の将来に関わる重大な問題なんだよっ!!」
「ダメだダメだ! 今フスベシティに入るなんて危険過ぎる! 子供はおうちに帰っていなさい!」
「だーかーらーっ! ってうわ馬鹿ちょっ、離せってコラ!」

 ……犯人を叩きのめすために動き始めたヒビキであったが、彼が検問によって身動きが取れなくなっていた事を、コトネはまだ知る由もないのだった……。




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 フスベジムの戦いは短期決着だった。
 先手を取ったのは襲撃者。強力な氷タイプの技がジム全体を包み込み、イブキのドラゴンポケモンに何もさせない。イブキに打てる手は無かった。合計6匹のミニリュウやハクリューを投じたが、どのポケモンも襲撃者の持つ強力な“影”の前には塵に等しかった。
 いや、それにしても決着は早過ぎた。
 まるでイブキが、自ら敗北しようとしていたかのようにさえ見えた――。

(……フフ。流石に、噂に聞いたとおりの強さね……。)

 完全敗北を喫したイブキは、奥歯を噛み締めつつ不敵に笑う。
 負けて悔しくないワケが無い。ましてイブキはプライドの高いジムリーダーだ。故意にとは言え、一度の敗北は必ず二度の勝利で埋め合わせたいと考えるイブキにとってこの敗北はこの上なく屈辱的なものであった。
 しかし、それでもイブキは私情を捨てた。一人のトレーナーである以前に、ジムリーダーとしての行動を優先した。きっと見る者が見れば、その彼女の行動は思い切り頭を撫で回してやりたいくらいの快挙であった。普段のイブキならば、こんな回りくどい作戦には決して乗らなかったに決まっているのだから……。
 イブキは最初から、このバトルの勝敗は考えていなかった。
 本来、イブキのエースポケモンといえばキングドラだ。
 ところが今回の勝負に於いて、イブキの手持ちにキングドラの姿は無い。

(どんなに卑怯な手を使おうとも、お前を野放しにする事に較べれば躊躇う事もないわ。)

 キングドラは、既にジム内部の死角から襲撃者を照準している。
 襲撃者の身の丈は一般的。ローブを羽織り、頭もすっぽりと隠しているため顔は見えないが、その体格から男であろう事は窺えた。
 キングドラの得意技といえば、タッツーの頃から変わらない正確無比な水鉄砲だ。針の穴を通すコントロールで放たれるその一撃は、イブキがパチンと指を鳴らすだけで今すぐにでも襲撃者のローブを剥ぎ取る事だろう。
 しかし、イブキの目的は襲撃者の正体を暴く事ですらない。
 仮に正体を暴いたとしても、取り逃がしてしまえば意味が無いからだ。寧ろ不用意に正体を暴く事は危険だとも考えられる。
 正体を隠すというのは、犯人にとって一種の枷の様なものなのだ。もしその枷が無意味なもの、即ちこの場で正体を暴かれるような事があれば、もし取り逃がしてしまった場合、今後は堂々と各地のジムやトレーナーが襲撃されるであろう事は想像に難くない。
 これ以上の被害を出さないためにも、“今”、“確実に”、捕えなければならないのだ。そのためには、今はまだキングドラを動かすべきではない。

(ハヤトの話によれば、この襲撃者は“全力の”ジムリーダーを倒す事を重視している……。つまり私がわざと敗北するような戦い方をすれば……多少なりとも時間を稼ぐ事が出来るはず。)

 イブキは考える。
 初戦をわざと敗北するとしても、それによって相手の手の内を探ることが出来るし、何よりもこうして襲撃者に短くない時間を浪費させるメリットは計り知れない。
 そこで“次”こそ掛け値無しの全力で戦い、限界まで長期戦に持ち込めば……警察がどれだけ鈍間だとしても、犯人の逃走経路を塞いでくれるのには十分だろう。

「……興醒めだな。」

 襲撃者が、言葉を発した。明らかに、今イブキが見せた実力に対し不満を抱く声だった。
 イブキはギュッと唇を噛み、たった一度のチャンスが来た事を悟る。

「もういいだろう。さっさとジムバッジをよこせ。」
「……タダじゃ渡せないわ。フスベジムの伝統でね。リーダーに勝っただけじゃバッジは渡せないのよ。」
「…………………………。」
「どうしてもと言うのなら、ジムの裏手にある“竜の穴”に入って、その奥にある秘宝を取ってくる事ね。これがフスベ流の最後の試練よ。」
「………………。」
「……それが嫌なら。……バッジは此処に在るわ。力尽くで奪い取ってみる?」

 イブキがすっと一歩横に移ると、彼女が立っていた場所の後ろにはひとつの箱が置いてあった。
 荘厳な装飾の成されたその箱が、リーグ運営より賜ったジムバッジを保管する箱である事を襲撃者は既に知っている。

「まるで、力尽くで奪って欲しい物言いだな。」
「あら。噂は聞いてない? 私、弱い男は嫌いなの。」
「……いいだろう。後悔するなよ――!」

 黒い影が、襲撃者の手の中のモンスターボールから再びその姿を現す。
 その瞬間を首を長くして待っていたイブキが吼えた。

「今よ! バブル光線ッ!」
「……何ッ!?」

 一体、“それ”は何なのか。
 強力な炎の属性を持つ、正体不明の影のポケモン。
 闇に包み隠されたその真実を、死角からキングドラが暴く……!

「貴様……卑怯な真似をッ……!!」
「これだけの騒ぎを起こしている癖に、人並みな事を言うじゃない!」
「チッ……!」

 キングドラの放つ強力な水流波が、“影”を背後から射抜く。
 水は高圧高密度で噴射する事により金属をも切断する刃物と化す事がある。イブキのキングドラのバブル光線は、そのウォーターカッターにこそ劣るが、圧力に関しては消防車の放水にさえ決して劣らない……!
 背骨が砕かれんばかりの衝撃で吹き飛ばされた影が、ジムの壁をぶち抜いて吹き飛んでいくと、すぐに眩しい太陽の光がジム内部に満ち溢れた。
 そこでは、どんな闇も存在できない。
 影が、ついにその姿を――真の姿を、白日の下に晒す……。

「……あ、れは……、」
「そんな……まさか……!」

 フスベシティを囲んでいた警官や、近くに来ていた野次馬トレーナーたちが揃ってその顔に驚愕の表情を貼り付けた。
 黄金の尾。赤き灼熱の翼。新緑色の飾り羽。鋭い嘴と、眼光。陽光に照らされ、七色の輝く身体――。
 巨体が羽ばたき空を舞うと、それだけで火の粉が降り注ぎ辺りの気温を跳ね上げる。
 神話……伝説……幻……。
 “運命”に導かれるトレーナーの前にだけ姿を見せると伝えられた、究極の鳥ポケモン……。

「ホウ……オウ……! ホウオウだ……ッ!!」
「な……なんでや、なんでホウオウがあないなところに……!」
「これは一大スクープだぞっ……、伝説のホウオウが、既に人の手に渡っていたなんて……!」

 口々に人々が言う。そのざわめきは、恐怖よりも興奮から来るものだった。
 エンジュシティのスズの塔からホウオウが消えて千年。今では御伽噺でしかなかったホウオウが、今この瞬間フスベシティの上空を飛んでいるのだ。
 その、なんと雄雄しく、そして美しい事か。
 あれがこの世の神だと誰かが言ったのなら、それをそのまま鵜呑みにしてもいいとさえ思える。

「おい待てっ……アレは何だ!」
「か、カイリューだッ、カイリューがホウオウを追っているッ……!!」

 16時間で地球を一周する速度で飛べるカイリューがホウオウに迫る。
 しかしホウオウは、迫り来る巨竜がまだ本気を出していない事を知ると、ゲラゲラと笑う。

「……ククク。残念だなぁカイリュウ。いいんだぞ――本来のスピードで飛んでもいいんだぞ、そうしないと追いつけないだろ!?」
「…………!」
「飛んじまえよぉおっ、16時間で地球一周、時速約2500km、マッハ2でさぁぁああ! その瞬間、衝撃波でこの辺り一面がどうなるか解ったもんじゃないけどなぁ!」

 ホウオウは、カイリューが本気で飛べない事を知っていた。
 地上から近いこの場所で音速を破る事がどれ程に危険な事かを、カイリューがちゃんと理解している事を知っていたのだ。
 ……しかし。
 カイリューに、敢えてその危険を踏む覚悟がある事までは知らなかった。そんな可能性など、微塵も考えなかった。
 ホウオウが羽ばたく度に振り撒かれる火の粉の方が、超音速で飛んだ時に生じるソニックブームよりも危険だとカイリューが判断したその瞬間。後ろを向いて余裕を見せていたホウオウの視界から、巨竜はその姿を消した。

「フスベシティが炎に包まれるのと、窓ガラスが全部割れてしまう事の、どちらの後始末が大変かという問題だ。」
「なっ……、にぃぃいいいいいぃ……ッ!?」

 カイリューの右手が、ホウオウの細い首を捕まえている。それに気付くまでに、首を掴まれてから1秒は経過していた。その1秒が、ホウオウがカイリューから致命的な一撃を被る前に脱出できる最後のチャンスだった。
 再び、カイリューが消える。地上から見ていた者達全員の目が、カイリューの姿を目で追うことが出来ない。
 ホウオウも消えていた。カイリューがホウオウを捕まえる瞬間だけが、サブリミナルのように人々の目に焼きついている。

「――っぉッ、がっ…………ぐはッ……!!」

 音速の壁を破り、カイリューが次に姿を現したのはシロガネ山の岩壁だった。
 僅かほどの時間の後に、ソニックブームが到達したフスベシティの全ての窓ガラスが音を立てて砕け散る。ホウオウの振り撒いた火の粉は全て掻き消され、後には人々の悲鳴だけが残った。

「くッ……ククク……! さ、流石だなカイリュー……! パワーじゃ、まるで勝てやしない……ぐふッ……!」
「もう喋るな。お前は終わりだ。」
「ぐぅおッ……ごほッ、がっ……!」

 ホウオウはシロガネ山の岩壁に、カイリューの腕ごと突き刺さっていた。
 首を締め上げる竜族の怪力から、ホウオウに脱出の術は無い。大空を自由に駆ける翼も、地上に縫い止められては無用の長物に過ぎなかった。
 勝敗は決している。
 カイリューは確かにこの時点で、ホウオウには勝っていた。
 しかしそれでも、ホウオウは負けたとは思っていなかった。
 所詮、自分はポケモンだ。ヒトに飼われて使役されるだけの存在だ。
 ここで自分が倒されようとも、それで何かが解決するという事は無い。
 ヒトの性が悪である事が否定できなければ、自分が倒されようともこの事件は終わらないのだ……。

「お前は……解っちゃいねェ……。此処で我を滅ぼそうとも、全ての悪意は、ヒトにしか存在しない……!」
「喋るなと言った。」
「がごぉッ……が、はぐぉッ……!!」

 人間の性悪説を主張するホウオウの首を、カイリューはより強く締め上げ、岩壁の中へと押し込んでいく。
 ……カイリューは心優しいポケモンだ。
 だから性悪説というものを認めたくなかったのかも知れない。
 いや、違う。
 本当はカイリューだって解っていた。
 結局自分達は人間に使われるだけの存在。
 使い手の悪意や善意で、自分達の心など簡単に移ろいでしまう事を。
 ただ、それが解った上で簡単にヒトの悪意と同調してしまうホウオウが許せなかった。
 ヒトが間違った道に進むのなら、それを正そうと努力するのが自分達の本来の役目では無いのかと。カイリューは、そう考えていたから……。
 でも、それを考えた瞬間、カイリューの手は止まった。

「……………………。」
「……何だ、その目は。」
「………………。」
「……此処までやっておいて、今更情けでも掛ける気か……?」

 今にも死にそうな顔で、ホウオウが呻く。
 その気になれば、カイリューはいつでもホウオウを討ち取れた。
 なのにそれをしなかったのは、最後の最後で、彼がホウオウの更生を願ったから。

「ふ……。甘いヤツだ……。言ったろう……此処で我を殺すも生かすも、その選択に何の意味も無い……。全ては、人間が決める事だ。」
「……違う。」
「違わない。どんな綺麗事を並べても……く、ククククッ……!」
「何が可笑しい……!」
「人間は愚かだぞ、カイリュー。お前が思う以上に人間は、どうしようもない生き物だ……! いくら救っても救い切れぬ、粗忽な生き物だ!! お前は何百年、人間を見てきた? 我は千年見たぞ、そして真理に辿り着いた! 否定するか? 我の千年を、お前のたかが数十年が否定するのか!? いいだろう、ならば否定してみせろ、この場で我を殺してみろよカイリューぅううううううううううぅッッ!!!」
「…………ぅぅぅううううううううおおおおおおおおおおおおおああああああああああああああああああッ!」

 カイリューの雄叫びが空を割る。
 他の、あらゆる音がその場に介入できない。
 カイリュー自身にも、その叫びしか聞こえていない。……いや、寧ろそれ以外のどんな音も聞きたくなかった。でも、両手で耳を塞いだらホウオウを倒せないから、自ら声を上げる事でその代わりとしたのだ――。

「――――――。」

 ホウオウが呟く。何と言ったのかは解らない。その微かな嘴の動きだけで言葉を読み取れるほど、今のカイリューに冷静さは残っていない。
 ただ、ホウオウが不敵に笑っているのは理解できた。
 何故、生きるか死ぬかの局面でコイツは笑っているのか。カイリューは、その理由をこう考えた。
 きっとホウオウは、これから同じ道を歩くであろう“カイリュー”を嘲笑っているのだ。千年をかけて導き出した、人間が愚かであるというホウオウの解答。カイリューが、これから同じ年月をかけ、同じ答えに至るであろう事をホウオウはきっと、確信していたのだ。だから、笑っていた。自分が殺されても、それと同じ意思を持つ存在が遠くない未来にこの世界に降臨するであろう事が解っていたから。
 ……まさに、それは不死鳥。
 死して尚、受け継がれ蘇る魂――究極の鳥ポケモン、ホウオウ。

「……………………さて。どんな事を考えて気を失ったのか。全く、手を焼かせてくれるな。」

 ホウオウはネクタイを締め直すような仕草で首元を撫でながら、チラと足元に冷たい視線を向けた。
 そこには、氷塊に抱かれて眠るカイリューの姿がある。
 ホウオウが不敵に笑ったあの時にはもう、カイリューは氷に包まれていた。
 あの時。叫び声を上げたあの瞬間こそが、最大の隙だった。
 雄叫びを上げる事で耳を塞いでいなければ、背後にもう一羽の鳥ポケモンが現れた事に気付けただろうに……。

「ご苦労、フリーザー。お前の力が無ければこうも容易くドラゴンタイプを落とす事は出来なかっただろう。」

 ……その言葉に本心からの感謝が無いことを薄々知りながら、フリーザーは自分に出来る精一杯の仕事を終え、邪気のない微笑みを零すのだった。
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